ほうほう……
ふむふむ、タケキャブは効果の立ち上がりも早いし、夜間の胃酸分泌も抑制できる。これはもうタケキャブ一択であるなあ。
いや、一患者からすると薬理効果が凄かろうと効能が良かろうと、症状さえ治してくれたらどっちでもいいでござるなあ。値段も安いほうがいいでござるし。
そういわれればそうなのかも……
と、いうことがありまして……
なるほど、それは一理あるかもなあ。ではタケキャブと他のPPIとでの症状緩和効果を比較した論文を探してみようか。
そんな論文ありますかね?
Short-Term Symptomatic Relief in Gastroesophageal Reflux Disease: A Comparative Study of Esomeprazole and Vonoprazan
Dig Dis Sci. 2019; 64(3): 815–822.
Published online 2018 Nov 10. doi: 10.1007/s10620-018-5365-0 PMID: 30415407
ネキシウム(エソメプラゾール)とタケキャブ(ボノプラザン)投与でのGERDにおける症状緩和効果を比較したランダム化比較試験だね。
そんな研究あるんですね!すごい!症状緩和効果はどうやって測定しているんですか?
主にGerdQというGERDの診断に有用であるとされるツールを使用している。GerdQとは英国で開発された患者が自分自身で答える問診票のようなもので「胸焼け」「胃酸の逆流」「お腹の痛み」「吐き気」「睡眠障害」「OTCの使用」の6項目についてそれらの程度をもとに選んでもらったものを点数化してtotal 8点以上であればGERDと診断できるとなっている。他にもFSSGやGOSなどのスケールも使ってるようであるよ。
なるほど、そんなのがあるんですね。初めて知りました。
それで両者を4週間投与した結果だが、どちらも80〜90%くらいの患者が症状の緩和に十分な効果を実感できたとしており(GerdQスコアで胸焼け、逆流、睡眠障害のスコアがそれぞれ1点以下→1週間のうち症状があったのが1日以下の場合を十分な効果が得られたとしている)、両者に群間差はなかったと結論付けられているよ。
なんと!
そして、その効果は期間中どのタイミングでも有意差がなかったとのことだよ。
タケキャブのほうが立ち上がりが早いから早く効くのかと思ったらそういうことでもないんですね……!
胃酸分泌抑制効果のdataが良くても実際に患者さんの感じる症状の緩和にはそこまで大きな影響はないということなんですかね?
そういうことなのかねえ。他に何か思ったことはあるだろうか?
批判的吟味ですね!うーん、しょうがないとは思うのですが症状緩和の判断基準が患者個人の意見になってしまうというのが若干気になったかもですね……残ったのが25人と22人ですし、たまたま我慢強かったり症状を感じにくかったりする人や逆に心配性で症状を感じやすい人がどちらかに偏ってたりとかだったら……人数が増えればまた影響があるのでしょうか。
それはわからないが、筆者らは脱落で人数が少なくなり各群での不均衡が生じてしまったが結果に影響はないとしているよ。たしかにもっと人数が増えたのも見てみたいかもなあ。
最近、〇〇と比べてこの薬はこんなにすごいってPRされている薬がたくさん出てきてますが、効果がすごいからと鵜呑みにして手放しに選ぶのではなくちゃんとこういうような色々なことも吟味して判断できるようになりたいですね……!
原著論文はこちら!