リスパダール(リスペリドン)内用液はお茶で飲んでいい?麦茶や紅茶や烏龍茶は?

先日、看護師さんよりこんな質問を受けました。

看護師さん
看護師さん

患者さんがリスパダール(内用液)を苦いからってどうしても飲んでくれなくて……いつも飲んでるお茶に混ぜて飲んでもらっても良いですか?

さて、あなたならこの質問にどう答えますか?

お茶なら水とそんなに変わらなそうだし、大丈夫でしょうか。

今回の記事ではこの「リスパダール(リスペリドン)内用液をお茶で飲んでいいか」について解説していきます。

また、お茶以外の飲み物との飲み合わせについても併せて書いていきます。

忙しい人のために今回の記事の結論を先に書くと

リスパダール(リスペリドン)内用液をお茶で飲むのはオススメできません!

です。

記事では理由について徹底解説していきます。早見表、パンフレットも作成しているので日々の業務に役立ててください。

リスパダール(リスペリドン)内用液はお茶で飲んで良い?麦茶や烏龍茶は?

リスパダール(リスペリドン)内用液とは?

リスパダール(リスペリドン)とは?

脳内のドパミンD2受容体やセロトニン5-HT2受容体などの拮抗作用により幻覚、妄想、感情障害などを改善する薬。統合失調症の治療薬。

入院患者に対しては「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」に対する薬として使用されることが多いですね。

錠剤と顆粒、液剤(内用液)の3つの剤形があり、今回は液剤(内用液)に関して取り上げます。

リスパダール(リスペリドン)の飲み方

「直接服用するか、もしくは1 回の服用量を水、ジュース又は汁物に混ぜて、コップ一杯(約150mL)くらいに希釈して使用すること。なお、希釈後はなるべく速やかに使用する」[4]

リスパダール(リスペリドン)はどんな味?

リスパダール内用液の添付文書によると「味は極めて苦い」とのこと[4]。

実際に苦味が理由で服用を拒否する患者は少なくないようです。

そのため、そのような患者さんが何か飲み物に混ぜて服用したくなる気持ちもわかります。

添付文書にはジュースや汁物に混ぜても良いと書かれていますが、果たしてお茶に混ぜても大丈夫なのでしょうか。

リスパダール(リスペリドン)内用液はお茶で飲んで良い?
飲み物との飲み合わせ比較

お茶と飲むと効果が落ちる?

リスパダール内用液の添付文書には内用液の服用方法として「茶葉抽出飲料(紅茶、烏龍茶、日本茶等)及びコーラは、混合すると含量が低下することがあるので、希釈して使用することは避けるよう指導すること」と記載されています。

早速ですが、お茶に混ぜるのはあまり良くなさそうです。

では含量が低下するとありますが、混合するとどの程度低下するのでしょうか。

この件について、先発品のリスパダールと後発品のリスペリドン共々各社が飲料水等との配合変化試験を実施しています。

結果としてはどれも似たようなものだったので、今回は先発品であるリスパダール内用液の配合試験結果をインタビューフォームより引用します。

試験条件としては

  • 配合比:リスパダールⓇ内用液3mL(1mg/mL)に飲料水等100mLを添加
  • 保存条件:透明ガラス容器に密栓し、室温にて保存

となっています。

保存期間は配合直後に加え2時間、4時間、24時間の4段階で、外観変化と含量、pH変化についてそれぞれ記録されています。

外観変化はどの飲料でもほとんど発生せず起きても濁る程度のようなので、今回はわかりやすい指標である含量低下に関してまとめてみます。

また、配合直後に含量低下が起こらなかったものはどれも24時間たっても変わらず含量低下していないようだったので、配合直後の含量についてのみ取り扱います。

以下がその結果です。

お茶と混ぜた結果

飲料水配合直後の含量(%)
午後の紅茶(ストレートティー)21.2
烏龍茶22.8
紅茶(ティーバック)55.3
おーいお茶(ペットボトル)86.9
麦茶(大麦100%)99.6
はと麦茶98.1

お茶以外の飲み物と混ぜた結果

飲料水配合直後の含量(%)
コカ・コーラ96.0(海外の試験では85.0)
牛乳96.2
ポカリスエット99.8
カルピスウォーター100.4
ドリップコーヒーモンカフェ103.7
南アルプスの水101.6
即席みそ汁101.1

含量の規格値は95.0~105.0(%)とされているので、含量が95%未満に低下していると規格外ということになります。

お茶の中では麦茶とはと麦茶だけが規格内で、ほかの紅茶、烏龍茶、緑茶は全て規格外まで含量が低下しています。

わかりやすく、混合することで規格外まで含量が低下してしまうものは「混ぜたらダメ」としましょう。

これらを踏まえると「麦茶とはと麦茶には混ぜても大丈夫だが、紅茶、烏龍茶、緑茶に混ぜるのは良くない」となりそうです。

看護師さんや理解力のある患者さんにはこのまま伝えて良さそうですが、理解力の低下しているような患者さんには一律で「お茶と混ぜるのはダメ」と伝えるほうが間違って解釈されるリスクを避けるためにも良さそうですね。

コカ・コーラに関してはリスパダールの配合変化試験でこそ96.0%とあまり含量低下を示していないように見えますが、海外の試験では85.0%まで含量が低下しており[1]、また後発品であるリスペリドン内用液分包「アメル」での配合変化試験結果でも88.3%まで含量低下が示されています[2]。

そのため一見飲みやすそうではありますが、コカ・コーラと混ぜて飲むのも避けるほうが良いでしょう。

ただ、中には「認知症患者でどうしてもいつも飲んでいる日本茶じゃないと飲んでくれない」とか「絶対コーラと一緒に飲みたい」などという人もいるかもしれません。

理解力のある人であれば説明して避けてもらうほうが無難ですが、上に挙げた入院の認知症患者の例などであれば看護師とも含量低下について情報共有した上で、あえて、というのも必ずしも不可では無いのかもしれません。

そのあたりは主治医とも要相談でしょうか。

リスパダール(リスペリドン)内用液をお茶で飲むと効果が落ちる(含量が低下する)理由

お茶で飲むと含量が低下する理由

では、なぜ紅茶、烏龍茶、緑茶では含量が低下してしまい、麦茶、はと麦茶では含量が低下しない、とお茶によって違いがあるのでしょうか。

茶葉には「タンニン」が含まれているというのを聞いたことがあるかもしれません。

タンニンとは植物由来の水溶性化合物の総称ですが、リスパダール(リスペリドン)内用液をお茶で飲むと含量が低下するのは「茶葉に含まれるポリフェノールの一種であるタンニンとリスペリドンがキレートを形成すること」が原因とされています[2]。

茶カテキンとして緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCg)のガロイル基が茶カテキンとリスペリドンとの不溶性複合体の形成に寄与しており、この不溶性複合体はEGCgのガロイル環の水酸基とリスペリドンのピペリジン環のN原子との間の水素結合によって安定化されているとのこと[3]。

つまり茶葉から抽出されているかどうかが問題となっており、麦茶、はと麦茶は茶葉から抽出したお茶ではないためキレート形成による含量の低下が起こらなかったと考えて良さそうです。

コカ・コーラで飲むと含量が低下する理由

コカ・コーラでの含量の低下は夾雑物による影響が考えられており[2]、海外の試験結果、また国内であっても試験によってバラつきがあるのは使用したコカ・コーラの種類、製品の差異による夾雑物の程度のバラつきが影響しているのではないかと考えられます。

全然関係ないですが以前コカ・コーラに関する記事を書いたのを思い出したのでリンクを貼っておきます。誰もそんなワードで検索しないだけだと思いますが、「コーラ最強説」のクエリ(検索ワード)でGoogle検索1位になってました(2020/08/14現在)。

海外旅行における「コーラ最強説」について専門家が徹底解説(論文紹介あり)

患者説明用パンフレット

患者に説明する際に使えるようなパンフレットを作ってみました。

看護師や若い患者さんに対してであればインタビューフォームに載っている表を基に説明したほうが早いかもしれませんが、そうでなければ視覚的にわかるようなこういったパンフレットで説明するのもありではないでしょうか。

フリーなのでぜひ印刷して使用してみてください。

まとめ

  • 紅茶、烏龍茶、緑茶では茶葉に含まれるタンニンがリスペリドンとキレート形成することで含量が低下するため混ぜないほうが良い
    • 最大で元の20%前後まで含量が低下することも
  • 麦茶とはと麦茶は含量が低下しないため混ぜても大丈夫
  • コカ・コーラは報告によってバラつきはあるため一緒に飲まないほうが良さそう

参考文献

[1]リスパダール インタビューフォーム

[2]共和薬品工業株式会社(2014)「リスペリドン内用液分包「アメル」と飲料水等との配合変化試験結果」https://www.amel-di.com/medical/di/download?type=19&pid=1062&id=0

[3]Hirohito Ikeda et al, [Mechanism of interaction between risperidone and tea catechin (2) influence of presence of galloyl group in catechin on insoluble complex formation with risperidone], Yakugaku Zasshi. 2012;132(1):145-53. doi: 10.1248/yakushi.132.145.

[4]リスパダール 添付文書

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