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ビスホスホネート製剤を飲み忘れてしまった場合の対応まとめ

ビスホスホネート製剤には毎日服用するものや週1回服用するもの、月1回服用するものなどいくつか種類がありますよね。

ビスホスホネート製剤の飲み方はどこでも詳しく書かれていますが、飲み忘れてしまったとき、飲み間違えてしまったときの対応法が書いてあるところはあまりない気がしています。

そこで、説明する医療従事者や服用する患者さん向けにビスホスホネート製剤を飲み忘れたときや飲み間違えてしまったときにその対応がすぐわかるようにわかりやすくまとめてみました。

少し前置きが長いかもしれないので、すぐ結果を知りたい人は「ビスホスホネート製剤の飲み忘れ、飲み間違い時の対応」までジャンプしてください。

ビスホスホネート製剤とは?

骨粗鬆症治療に用いられる骨吸収抑制薬のひとつ

  • 血中から速かに骨に移行・沈着し、破骨細胞が骨吸収する際に破骨細胞に取り込まれ破骨細胞を不活化する。
  • 一度吸収されると骨に沈着し、投与が一定期間行われないで血中濃度が低下しても長期間その有効性を発揮する。
  • いずれの薬剤も推体骨折発生を50%程度抑制する。
  • アレンドロン酸、リセドロン酸、ゾレドロン酸では大腿骨付近位部骨折の有意な抑制効果が確認されている。

ビスホスホネート製剤の種類

連日服用製剤

  • ボナロン(アレンドロン酸ナトリウム水和物)5mg
  • フォサマック(アレンドロン酸ナトリウム水和物)5mg
  • アクトネル(リセドロン酸ナトリウム水和物)2.5mg
  • ベネット(リセドロン酸ナトリウム水和物2.5mg
  • リカルボン(ミノドロン酸水和物)1mg
  • ボノテオ(ミノドロン酸水和物)1mg

週1回服用製剤

  • ボナロン(アレンドロン酸ナトリウム水和物)35mg
  • フォサマック(アレンドロン酸ナトリウム水和物)35mg
  • アクトネル(リセドロン酸ナトリウム水和物17.5mg
  • ベネット(リセドロン酸ナトリウム水和物17.5mg

月1回服用製剤

  • リカルボン(ミノドロン酸水和物)50mg
  • ボノテオ(ミノドロン酸水和物)50mg
  • ベネット錠75mg、アクトネル錠75mg(リセドロン酸)
  • ボンビバ錠100mg(イバドロン酸ナトリウム)

ビスホスホネート製剤飲み忘れの実態

実際に飲み忘れてしまう人はどのくらいいるのでしょうか?

文献より

患者への聞き取り調査によると、ビスホスホネート製剤を飲み忘れたことがあるのは全体の40%(256/637)であった。

佐古有紀ほか(2015)「骨粗鬆症患者における経口ビスホスホネート製剤服薬実態調査」医療薬学41(10)750-756

用法毎の飲み忘れの実態は下記の通りであった。

  • 1日1回製剤:14%(6/42)
  • 週1回製剤:51%(159/313)
  • 月1回製剤:32%(91/282)

結構多いんですね。週1回製剤だと約半分の人が飲み忘れた経験があるようです。

そのため飲み方ももちろん大切ですが、飲み忘れてしまったときの対応を知っておく、伝えておくことも重要でしょう。

ビスホスホネート製剤の飲み忘れ、飲み間違い時の対応

さて本題です。各種文献を基に飲み忘れ、飲み間違い時の対応についてまとめてみました。

全般

  • 水以外の飲食をしていない状態であれば気付いた時点で内服してOK

連日服用製剤

  • その日は服用せず翌日から服用

週1回服用製剤

  • その日は服用せず翌日に服用
  • 次回服用は1週間空ける必要はなく、もともとの予定服用日に服用
    • 予定日から6日間飲み忘れた場合は2日続けて内服することになる3)
  • 1週間たつ前に間違って飲んでしまった場合、翌週は休薬

月1回服用製剤

  • 共通
    • その日は服用せず翌日に服用
    • 間違って多く(2錠)飲んでしまった場合、翌月は休薬
  • ボンビバ錠100mg(イバドロン酸ナトリウム)
    • 本剤の服用を忘れた場合は気づいた日の翌日に1錠服用し、以後その服用を基点とし1カ月間隔で服用すること。4)
  • ベネット錠75mg、アクトネル錠75mg(リセドロン酸)
    • 本剤の服用を忘れた場合は、翌日に1錠服用し、その後はあらかじめ定めた日に服用すること。4)
    • 気づいたのが次回予定日の1週間以内であれば、飲み忘れた分は飛ばして次回予定日に1錠のみ服用する。5)
  • ボノテオ錠50mg、リカルボン錠50mg(ミノドロン酸)
    • 本剤の服用を忘れた場合は、翌日に1錠服用すること。4)
    • 内服のずれが7日以内の場合は次回は予定通り内服してOK。3)
    • 次回予定日までの間隔が3週間以上空いていれば、気づいた時点で服用しても問題ない5)(開発時は4週±7日に1回の投与間隔のずれであれば許容範囲とされていたが、それ以外の有効性、安全性が保たれるかは不明)3)

参考文献

  1. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版
  2. 佐古有紀ほか(2015)「骨粗鬆症患者における経口ビスホスホネート製剤服薬実態調査」医療薬学41(10)750-756
  3. 馬渡太郎(2012)「整形外科ナースのためのお悩み相談室」整形外科看護17(3): 316-317
  4. 各種 添付文書
  5. 桐野玲子(2015)「経口ビスホスフォネート製剤の分類と留意事項について」鹿児島市医報 第54巻第6号(通巻640号)

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