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イントラリポスの投与速度、おてがる早見表

脂肪乳剤であるイントラリポス。よく中心静脈栄養と一緒にオーダーされますよね。

あなたの施設でも「1時間かけて投与」や「2時間かけて投与」という形でオーダーされることがあるのではないでしょうか。

投与速度について、イントラリポス輸液20%100mLの添付文書1)には「通常、1日250mL(ダイズ油として20%液)を3時間以上かけて点滴静注する」と記載されているので、この記載に基づくと100mLであれば1.2時間かければ良いことになりますね。1時間だと早いですが2時間だと問題なさそうです。

なので2時間で投与すればオッケー!……として良いでしょうか。

ここでガイドラインを見てみましょう。経腸静脈栄養ガイドライン2)には「脂肪乳剤は0.1g/kg/時(小児は0.08g/kg/h)以下の速度で投与する」と記載されています。

仮に患者の体重が50kgとすると、100mlの投与には4時間かけることになります。体重が重いほどかける時間は少なくなるようですが、80kgだとしても2.5時間と添付文書の1.2時間とはかなり差がありますね。このガイドラインの記載に従うと2時間では速そうです。

では、どうしてガイドラインでは遅めの時間が推奨されているのでしょう?

これは、実際には脂肪乳剤には至適投与速度というのがあるためです。この速度を超えると脂肪乳剤の人工脂肪粒子をHDLがリポ蛋白化する速度が限界を超えてしまいます。

脂肪乳剤が体内で処理しきれなくなると、血中脂質が増加し 、脂肪利用率が低下します。さらに加水分解されずに血中に滞留した人工脂肪粒子は異物として認識され 、肝臓や脾臓のクッパー細胞などの網内系に貪食されて免疫機能の抑制に繋がってしまうのです。

こういった理由があるのであれば添付文書よりガイドラインの記載に従ったほうが良さそうですよね。

推奨されている「0.1g/kg/h以下」をイントラリポス輸液20%100mLに当てはめると、

40kgのとき→5時間以上
50kgのとき→4時間以上
60kgのとき→3.3時間以上
70kgのとき→2.85時間以上

となります。わかりやすくすると20%製剤では「(体重÷2)mL/時以下」で投与すれば、10%製剤では「体重mL/時」で投与すれば0.1g/kg/h以下ですね。

これをおてがるな早見表にしてみたのが下の図です。

あまり気にされないイントラリポスの投与速度について、ぜひ気にするようにしましょう。

参考文献
(1)イントラリポス輸液20%100mL 添付文書
(2)日本経腸静脈栄養学会編 経腸静脈栄養ガイドライン 第3版

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