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ペンタサとアサコールとリアルダの製剤的な違いまとめ

潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)に使われる薬剤である5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤のうち、その有効成分であるメサラジンを主成分とする薬剤には現時点(2021年11月)で「ペンタサ」「アサコール」「リアルダ」の3つがあります。

どれも成分は同じメサラジンですが、それらにはどういった違いがあるのでしょうか?

また、それぞれどういった製剤的な特徴があるのでしょうか?

今回はそんなところについてまとめてみました。

ペンタサとアサコールとリアルダの違いとは?

なんで同じ成分で色々な種類の薬があるの?

メサラジンは炎症を生じている病変部の粘膜に直接作用して活性酸素抑制、アラキドン酸カスケード阻害、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体の活性化などによる抗炎症作用を示すと言われています。

しかしそのままの形で服用すると、空腸から吸収が始まって小腸上部で大半が吸収され(回腸末端には約20%しか到達しない)、吸収されるとその効果は失活してしまいます。

炎症性腸疾患(IBD)
  • 潰瘍性大腸炎:大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患
  • クローン病:主に小腸や大腸が病変だが、消化管のどの部位でも起こりうる。

潰瘍性大腸炎はその名の通り大腸に起きる疾患です。

治療には病変部位に高用量の薬剤を到達させることが必要!

そこで大腸までメサラジンを十分量到達させるために、様々なドラッグ・デリバリー・システム(DDS)を持つ5-ASA製剤が開発されることになりました。

ペンタサ

  • 有効成分 メサラジン(5-アミノサリチル酸:5-ASA)
  • 適応 潰瘍性大腸炎〈重症を除く〉、クローン病

5-ASAを不溶性のエチルセルロースの多孔性皮膜でコーティングした粒子。

エチルセルロースは徐放性コーティング剤であり、消化管内のpHにかかわらず小腸から大腸までの広範囲で5-ASAを時間依存性に少しずつ放出します。

つまり、広範囲にまんべんなく作用するような設計と言えるでしょう。

小腸から放出が始まるため大腸に到達するまでに薬剤を一部消失する可能性はありますが、盲腸から薬剤を作用させることができるため右側に炎症の強い全大腸炎型では選択される可能性があるとされます。3)

また、直腸に届く前に薬剤の放出が終わってしまう可能性があるため、遠位大腸も炎症が強い場合には注腸製剤なども使用、併用されることがあります。3)

アサコール

  • 有効成分 メサラジン(5-アミノサリチル酸:5-ASA)
  • 適応 潰瘍性大腸炎〈重症を除く〉

錠剤全体がメタクリル酸コポリマーSで覆われています。

メタクリル酸コポリマーは腸溶性コーティングであり、pH7以上で溶解し回腸末端から大腸全域で5-ASAが放出されるようになっています。

参考:小腸、大腸のpH
  • 十二指腸:pH5.5-6.5
  • 空調:pH6.1-7.1
  • 回腸:pH7-8
  • 大腸:pH5.5-7.6

つまり、ペンタサと違って特定部位(大腸)でのみ作用するような設計(潰瘍性大腸炎に特化)になっていると言えるでしょう。

直腸炎型や左側大腸炎型のような主病変部が大腸の後ろのほう(肛門側)である場合に5-ASAを高濃度で届けることが可能となり、治療効果も高まると考えられています。2)

リアルダ

  • 有効成分 メサラジン(5-アミノサリチル酸:5-ASA)
  • 適応 潰瘍性大腸炎〈重症を除く〉

2016年保険収載。

メサラジンを親水性基剤と親油性基剤のマルチマトリックス(MMX)中に分散させた素錠部を、pHに反応性のある高分子フィルム(メタクリル酸コポリマーS/L)でコーティングした構造となっています。

上記構造により、pH7以上となる回腸末端付近でコーティングが溶解し、その後MMX構造により徐放性に5-ASAが放出されます。

イメージとしてはアサコール+MMXという感じでしょうか。

より持続的な5-ASAの放出が可能となり、遠位大腸への送達が良くなっているようです。4)

活動期であっても服用回数が1日1回で良いのも特徴の一つでしょう。

勉強になりそうなメモ

その他調べていて勉強になったことを備忘録的にまとめておきます。

実際の治療では、1種類の経口5-ASA製剤で十分な効果が得られなかった場合、すぐに別の治療に変更せず、他の5-ASA製剤に変更する場合がある。成分を放出する仕組みが異なることで、効果が発揮されることがあるため。4)

すみやかに寛解導入するためには、できるだけ高用量のメサラジン投与が望ましい。これに炎症部位と薬物送達性を加味して薬剤選択を行う。一方で高用量の5-ASA製剤は副作用を生じることもあり注意が必要。3)

5-ASA製剤の副作用は用量の多少とは関連がないとも。5)

服薬アドヒアランスの低下は再燃しやすさに繋がる。

投薬を継続していない患者は、継続している患者に比べて再発のリスクが5倍以上高かった(ハザード比=5.5、95%信頼区間:2.3~13、P<0.001)。

Am J Med. 2003 Jan;114(1):39-43.

そのため、アドヒアランスが向上するように指導することが重要。


IBDの増悪を疑うような症状の場合、副作用なのか病状の悪化なのかの判断が難しいこともある。内服開始後数日〜1,2週後より腸炎症状の悪化が認められた場合は5-ASA製剤が体に合っていない、もしくは病状悪化の可能性もあり、医療機関に連絡・相談を勧めることも大事。4)

まとめ

  • メサラジンは抗炎症作用があるが、そのままの形で服用すると回腸末端には約20%しか到達しない
  • IBDの治療には病変部位に高用量の薬剤を到達させることが必要!
  • そこで大腸までメサラジンを十分量到達させるために、様々なドラッグ・デリバリー・システム(DDS)を持つ5-ASA製剤が開発されている。
  • ペンタサ:広範囲にまんべんなく作用するような設計
  • アサコール:特定部位(大腸)でのみ作用するような設計(潰瘍性大腸炎に特化)
  • リアルダ:より持続的な5-ASAの放出が可能となるような設計

参考文献

  1. 今野勉, 橋本光正, 倉田なおみ「第5回 薬学部で習った添加物の知識をフル活用しよう」調剤と情報 25(9): 1362-1365, 2019.
  2. 宇高 伸宜,岸田直樹「かかりつけ薬剤師のための処方推論」調剤と情報 2017.10(Vol.23 No. 14)
  3. 櫻井敏之(2019)「シリーズ基本の基本 薬剤編 5-ASA製剤」IBDクリニカルカンファレンス Vol.1, No.1
  4. 大森鉄平(2018)「IBD治療薬の選び方、使い方 5-アミノサリチル酸製剤」月刊薬事 Vol.60, No. 1
  5. Nobuo Hiwatashi et al., Clinical trial: Effects of an oral preparation of mesalazine at 4 g/day on moderately active ulcerative colitis. A phase III parallel-dosing study, J Gastroenterol. 2011 Jan;46(1):46-56.
  6. Sunanda Kane et al, Medication nonadherence and the outcomes of patients with quiescent ulcerative colitis, Am J Med. 2003 Jan;114(1):39-43.

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