「風邪をひいたらなにはともあれとにかく寝るべし」
よく聞く言葉ですよね。
しかし、本当に寝るだけで風邪に効果がありかつ風邪の予防になるのでしょうか?
今回はそんな疑問を解消すべく、文献を基にビジアブ(ビジュアル・アブストラクト)を作って風邪と睡眠の関係について検証してみました。
風邪に対する睡眠の効果が知りたい方、風邪なんて寝なくても薬を飲んでれば大丈夫っしょと思っている方はぜひ一読ください。
もくじ
睡眠時間が少ないと風邪をひきやすくなる?
なんか寒気がする……
これは風邪をひいちゃったかもしれない
早く帰って寝るべし!
オーガマンもそう言ってるよ!
え〜なんか薬ちょうだい〜
薬飲んどけば大丈夫っしょ!
寝ることが一番風邪には良いのである!
論文見つけたから読んでみよ!
睡眠習慣と風邪に対する感受性の関係
Arch Intern Med, 169 (1), 62-7 2009 Jan 12
Sleep Habits and Susceptibility to the Common Cold
Sheldon Cohen , William J Doyle, Cuneyt M Alper, Denise Janicki-Deverts, Ronald B Turner
- PMID: 19139325
- PMCID: PMC2629403
- DOI: 10.1001/archinternmed.2008.505
背景
睡眠の質はいわゆる風邪に対する感受性と免疫系の重要な予測因子になりうると考えられている。本研究ではウイルスに暴露した後の睡眠時間と睡眠の質が風邪に対する感受性と関連があるか調査した。
方法
153人の健康な男女のボランティア(21歳〜55歳)が参加した。
参加者には14日間、前日の睡眠時間と睡眠効率(ベッドの中で実際に寝ていた割合)、そして実際に休まったと感じたかどうかを報告してもらい、それらの平均値を計算してベースラインとした。
その後、参加者にライノウイルス入りの点鼻薬を投与し、投与-2日から投与後5日間に渡って風邪症状をモニタリングした。
結果
睡眠時間が7時間未満の人は8時間以上の人と比べて2.94倍(95%CI 1.18-7.30)風邪をひく傾向があった。一方、睡眠効率については92%未満の人は98%以上の人と比べて5.5倍(95%CI 2.08-14.48)風邪をひく傾向にあった。
これらの相関はライノウイルスの特定の抗体や人口統計、社会経済的地位、季節、BMI、健康習慣の違いでは説明できなかった。起きたときに休まったと感じたかどうかは風邪の発現とは関連していなかった。
結論
ライノウイルス暴露後の低い睡眠効率と少ない睡眠時間は風邪のひきやすさと関連していた。
2.94倍と5.5倍ですって……!
(帰って寝なくちゃ)
ライノウイルスを点鼻??
ガクガクブルブル
ガクガクブルブル
ボランティアの人は報酬として800$貰えたらしいよ
はい!
私、やりたいです!!
寝るのが良いって結局どういうメカニズムなの?
論文には次のように書かれていたよ
感染に対する睡眠の役割は未だ結論が出ていないが、睡眠の質が落ちると疾病発現が増えるということに関してはエビデンスが一貫している。
現段階で説明可能な事項として、睡眠が阻害されると炎症性サイトカイン、ヒスタミンその他感染反応で放出される免疫調節因子が影響されるため、ということが言える。
通常の上気道感染症では、免疫機能を賦活化させるために体温をある程度高温で維持しながら、安静にして自然寛解を待ち、必要により服薬することになると思います。
小川壮寛, 松下明, 第8回 臨床推論で見抜く「風邪薬をください」の裏側, 調剤と情報 24(16): 2483-2487, 2018.
とりあえず細かいことはわからないけど寝ることで免疫機能が賦活化されるからとにかく風邪ひいたら寝ろってことみたいだね!
よし、帰って寝るわ!
あと仕事全部よろしく!!!
え、う、うん
お大事にしてくだされ
- ライノウイルス暴露後の低い睡眠効率と少ない睡眠時間は風邪のひきやすさと関連していた
- 寝ることで免疫機能が賦活化される
- 風邪をひいたらなにはともあれとにかく寝るべし