NSAIDs潰瘍とは?概要や予防についてのまとめ

NSAIDs潰瘍とは?概要や予防についてのまとめ

NSAIDs潰瘍の発症率

NSAIDsを連用する患者では、胃酸分泌抑制薬などの予防投与がない場合、10〜15%で胃潰瘍、3%で十二指腸潰瘍が発症するとされている。3)

NSAIDs潰瘍の好発時期

服用中は潰瘍発生のリスクが継続するが、特に服用開始から3ヶ月以内で消化管出血のリスクが高い3)

NSAIDs服用による潰瘍リスク

H. pylori(-)/NSAIDs(-)を1とした場合(海外のメタアナリシスにて)

1

18.1

19.4

61.1

NSAIDs潰瘍の症状

NSAIDs潰瘍の半分近くが、胃痛などの自覚症状を欠く3)

NSAIDs使用者では内視鏡的な粘膜障害を認めなくても、30%近くにディスペプシア症状を有する。3)

NSAIDs使用者に対しては定期的な内視鏡観察や貧血のモニタリングなどで、潰瘍の発生に注意する必要がある。

NSAIDs潰瘍のリスク因子

  • 高齢者
  • 潰瘍既往歴
  • 糖質コルチコイドの併用
  • 高用量NSAIDsの使用
  • 複数のNSAIDsの併用
  • 抗凝固・抗血小板作用のある薬の併用
  • ビスホスホネートの併用
  • 重篤な全身性疾患を伴う人

これらの因子が増えるほど、消化管出血のリスクは高くなる。

NSAIDs潰瘍とNSAIDsの種類との関係

COX2選択的阻害薬は非選択的NSAIDsに比べ、潰瘍発生率および出血を含む潰瘍合併症が減少している。3)

2010年のシステマティック・レビューにおいて、上部消化管出血のリスクは非選択的NSAIDsで4.5倍、COX2選択的阻害薬で1.88倍であった。8)

NSAIDs潰瘍の座薬と内服での発現率の差

経口投与と座薬では潰瘍発生率に差はない3)

長期投与例において、インドメタシンの経口薬と座薬で胃潰瘍の発生率は15.2%、16.7%と差がなかったとの報告がある。2)

NSAIDs潰瘍の治療

NSAIDsの中止のみで高率に治癒する。3)

NSAIDs中止が不可能であれば、PPIやPG製剤の投与が推奨されている。3)

PPIとPG製剤ではどっちのほうがいいの?
NSAIDs潰瘍の治療においてPPIの治療効果はPG製剤と比べて同等もしくは優れており、H2RAと比べても優れているといえる。6)
タケキャブ(ボノプラザン)は?
ボノプラザンはNSAIDs潰瘍継続下での潰瘍治療の効果が実地臨床では示されており期待されるが、RCTなどのエビデンスレベルが乏しいため、今後エビデンスの蓄積が望まれる。6)

NSAIDs潰瘍の予防

NSAIDs全般(リスクの少ない人)

潰瘍既往歴がない患者でもNSAIDs潰瘍の発症予防は必要であるため、行うよう提案されている3)

PG製剤

PPI、PG製剤

PPI、PG製剤及び高用量H2RA

が有効とされている。3)

それぞれの使い分けは?
PG製剤、PPIは胃潰瘍、十二指腸潰瘍への予防効果を認め、H2RAでは十二指腸潰瘍に対する予防効果が強いとされる。1)
タケキャブ(ボノプラザン)は?
ボノプラザンのNSAIDs服用例における潰瘍既往者での潰瘍再発抑制効果に関して、24週以内での潰瘍再発率や出血性潰瘍合併再発例においてボノプラザンのPPIに対する非劣性が認められている。5)
レバミピドは?
潰瘍既往のない症例で、レバミピド300mg/日の予防試験で、12週間の観察において胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発症抑制効果はミソプロストール600μg/日と同等であることが示されている。7)

リスクの少ない方やNSAIDsの使用がそれほど長期とならない方にはレバミピドでも十分かもしれません。

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NSAIDs全般(リスクのある人)

PPI、PG製剤

PPI、PG製剤

の投与が推奨されている。3)

潰瘍既往歴のある患者

PPI、PG製剤が有効であり、第一選択薬としてPPIの投与が推奨されている

COX-Ⅱ選択的阻害薬にPPI併用が推奨されている。3)

COX-2選択的阻害薬

COX-2選択的阻害薬では予防投与は必要?
潰瘍既往歴がある患者では予防治療を行うことを推奨(推奨の強さ:1、エビデンスレベル:A)、既往歴がない患者では予防治療を行わないことが推奨(推奨の強さ:1、エビデンスレベル:A)されている。3)
メモ

消化性潰瘍歴のない低リスク患者においては、COX-2選択的阻害薬投与群とプラセボ群では消化性潰瘍の発生頻度に有意差はないという報告がある4)

NSAIDs潰瘍のまとめ画像

参考文献

  1. 千葉俊美「NSAIDsによる消化管傷害」日本医事新報 (4858): 28-34, 2017.
  2. 溝上裕士ほか「NSAIDs長期投与慢性関節リウマチ患者における胃潰瘍についての臨床的検討」臨床リウマチ1998,10: 130-141
  3. 日本消化器病学会「消化性潰瘍診療ガイドライン2015(改訂第2版)」
  4. Feng GS ,et al., Celecoxib-related gastroduodenal ulcer and cardiovascular events in a randomized trial for gastric cancer preventionWorld J Gastroenterol. 2008 Jul 28;14(28):4535-9.
  5. Yuji Mizokami et al., Vonoprazan prevents ulcer recurrence during long-term NSAID therapy: randomised, lansoprazole-controlled non-inferiority and single-blind extension study, Gut. 2018 Jun;67(6):1042-1051.
  6. 岩本淳一ほか「NSAIDs潰瘍」月刊薬事 2021年11月号(Vol.53, No.14)
  7. Soo-Heon Park et al., Comparison of Prevention of NSAID-Induced Gastrointestinal Complications by Rebamipide and Misoprostol: A Randomized, Multicenter, Controlled Trial-STORM STUDY, 2007 Volume 40 Issue 2 Pages 148-155
  8. Elvira L Massó González, Variability among nonsteroidal antiinflammatory drugs in risk of upper gastrointestinal bleeding, Arthritis Rheum. 2010 Jun;62(6):1592-601.

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