風邪をひいたあとに残る咳って長引いて嫌ですよね。
そんなときに薬を飲むよりはちみつ入りのコーヒーを飲むほうがいいのでは?という論文についてビジアブ(ビジュアル・アブストラクト)を書いてまとめています。
風邪は治ったけど咳が残ってつらい、何の薬を飲めばいいのか迷っているという人は病院に行く前にぜひご一読ください。
もくじ
風邪後の長引く咳には咳止めよりはちみつコーヒーのほうがおすすめ?

ごほんごほん

おや、めずらしい。風邪かな?

あ、先輩。風邪はもう治ったんですけど、咳だけが残っちゃったんです

それはおつらいですな

なんかいい薬ないですかね。やはりこういうときは麦門冬湯とかですかね

そうだなあ、はちみつを舐めるとよいかもなあ

えっはちみつですか?
確かに喉に良いって聞いたことがあるような気はしますが……

ふふふ、こんなこともあろうかと論文を用意しておいたので読んでみようぞ
感染後の咳に対するはちみつ+コーヒーvs全身性ステロイド
Randomized Controlled Trial Prim Care Respir J, 22 (3), 325-30 Sep 2013
Honey Plus Coffee Versus Systemic Steroid in the Treatment of Persistent Post-Infectious Cough: A Randomised Controlled Trial
Mohammad Ali Raeessi 1, Jafar Aslani, Neda Raeessi, Homa Gharaie, Ali Akbar Karimi Zarchi, Fereshteh Raeessi
- 1Department of Otolaryngology, Baqiyatallah University of Medical Sciences, Tehran, Iran.
- PMID: 23966217
- PMCID: PMC6442828
- DOI: 10.4104/pcrj.2013.00072


2.9とか0.2とかって何を意味してるんですか?

「visual analogue cough questionnaire score」
つまり咳に対してのアンケート調査みたいなもので
症状が「何もない」が0、「少しある」が1、「中くらい」が2、「すごくある」が3としてそれぞれ答えてもらったものの平均を意味しているよ
簡単に言うと数字が大きいほうが咳がひどくて、数字が小さい方が咳がなくて調子がいいということだね

はちみつコーヒーとプレドニゾロンとグアイフェネシンで二重盲検ランダム化比較試験を行っているよ

二重盲検……においとか味で誰がはちみつかバレバレじゃないですか?

Three regimens of medical jam-like pastes were prepared
とあるので3群ともジャムみたいなペーストにしているようだね
作り方はそれぞれ
①はちみつ500gとインスタントコーヒー70gを含むトータル600g
②プレドニゾロン320mgを含むトータル600g
③グアイフェネシンのみで600g
としてペースト状にしており、そのうえでコーヒーエッセンス、はちみつフレーバー、液体グルコースを加えて似たような味、形、色、パッケージにしていたようだよ
これらを1回ティースプーン一杯(約25g)取り、200mL程度のお湯(<60℃)に溶かして8時間毎に1週間服用してもらっているね
そのため結局1回量はビジアブに書いてある量になる計算のようだね

なるほどですね

ちなみに
The samples were produced by our pharmacists.
とのことで薬剤師が作ったらしい

97人分作るのはなかなか大変だったでしょうね……

ちなみに関係ないですけどグアイフェネシンって大学生のときにちんグアイ薬だからグアイフェネシン=鎮咳薬って覚えた記憶があります

な、なるほど

論文のPECOは
- P(Patient):感染後に3週間以上咳が続いている人に対して
- E(Exposure):はちみつコーヒーの摂取は
- C(Comparison):ステロイドの経口投与と比較して
- O(Outcome):平均咳嗽頻度を減らすか
ですかね!

文献に書いてあったはちみつの効果についてまとめました
- 紀元前3000年より健康に良い食べ物とされてきた聖書にも載っている最古の薬
- 伝統的な薬として上気道感染や呼吸不全の症状、特に咳に対して使用されてきた
- WHOははちみつを咳や上気道感染の症状の潜在的な治療として位置づけている
- はちみつは鎮痛薬として喉をなだめる可能性も示唆されている
- 風邪の症状と咳にも効果的とされる
- 200以上の物質(糖、ミネラル、タンパク質、ビタミン、有機酸、抗酸化剤など)を含む
- 抗酸化剤によりはちみつはサイトカイン放出を増加させ、抗菌作用を持つ
- それにより加齢、病気、死に繋がる細胞の酸化を防ぐことができる
- 近年、火傷や怪我、創傷などにも効果があることが再発見された
- はちみつは炎症、浮腫、上皮形成期、細胞再生の期間を減らし、造粒と壊死組織除去を改善する
- 細胞再生と創傷治癒を加速させる
- はちみつは歯肉炎や歯周病の治療など口腔衛生にも推奨される
- はちみつの甘味により唾液分泌や気道粘液分泌が促進することによる
- これらの効果ははちみつの高浸透圧性と抗炎症、抗酸化作用による

たくさんあるなあ

美味しくて健康に良くて、はちみつ最高ですね

うむ
ただ1歳未満の乳児には絶対ダメであるぞよ

なんではちみつをコーヒーに入れるの?
と思っていたらコーヒー(カフェイン)の効果についても書いてあったのでまとめました
- メチルキサンチン(テオフィリンやカフェイン)は呼吸を促進する気管支拡張薬として用いられる
- カフェインは鎮痛作用と抗炎症作用も持つ
- 中枢神経系を刺激する世界で最も消費される抗精神物質
- カフェインは覚醒レベルを上昇させ、倦怠感と眠気の自己評価レベルを低下させる

コーヒー、正直苦くてあまり好きではないですが、はちみつを入れると甘くなってかつはちみつとカフェインのいいとこ取りができて最強かもしれませんね……!

僕はブラックが好きだがはちみつを入れてもよいかもなあ

はちみつはイラン南西部のザグロス山脈で取れたものを使用しているみたいですね

ほう、ザグロス山脈か
イランとイラク、トルコの国境線となっている山脈だね

なんで知ってるんですか……
コーヒーはネスレのインスタントコーヒーを使用したみたいですね

安定のネスカフェであるなあ

はちみつコーヒーとステロイドはどっちも有意に咳を改善させたけど、両者を比べるとはちみつコーヒーのほうが有意に改善させたという結果でしたね

プレドニゾロンの服用量とかはどうなんでしょう?
あと咳でプレドニゾロンだけ内服しますかね?

日本呼吸器学会による「咳嗽に関するガイドライン第2版」によると、咳や咳喘息の第一選択はICS(吸入ステロイド)で
「上気道炎などによる悪化時や,ICS 吸入により咳嗽が誘発される場合,連夜の睡眠障害など症状が強い場合には,短時間作用性吸入β2 刺激薬を頓用で用いながら経口ステロイド薬を短期間併用する(プレドニゾロン 20〜30 mg / 日を 3 〜 7 日間,最長 14 日間以内にとどめる)」
とされているね
また、筆者らによるとPPC(感染後の咳)に対するプレドニゾロンの最大推奨量は40-45mg/日とされているとのことだよ

そうなんですね!
プレドニゾロンの内服量としてはだいたい良さそうですが、咳喘息に対してステロイド内服だけっていうのはやっぱりあまり多くなさそうな印象を受けますね……
個人的にはメジコンとか他の鎮咳薬と比較して欲しかった感じはあります!

グアイフェネシンは全然ですね。wikipediaにも咳を抑える効果は不明であるって書かれてました。ちんグアイ薬→鎮咳薬って覚えたのに……

グアイフェネシンはよくOTCの風邪薬に配合されているが、どちらかというと去痰薬として用いられているようだよ

そういえば医療用医薬品で見たことないなあと思っていたら一般用医薬品に配合されてたんですね!

たしかに「グアイフェネシン・・・のどにからんだたんをやわらかくして、出しやすくします」って書いてますね
ちんグアイ薬は忘れることにしました

強みと弱み……
ティースプーン1杯25gを1回量としていますが、結構人によってとかそのときによって誤差はありそうですよね

そうだなあ
ただ筆者らはトータルの量は一定なので1回量の誤差は大きな意味を成さないとしているようだよ

グアイフェネシンは咳止めの効果が期待できないならいっそプラセボのほうが良かった気が……

確かにプラセボのほうが正確だっただろうが、倫理的な点から仕方がなかったと筆者らも言及しているね

「なんか咳が続いているから薬もらいに病院行ったら別の感染症にかかった」という悲劇を避けるためにも、症状が咳だけだったらとりあえずはちみつコーヒー、いいかもしれないですね

美味しい、咳が良くなる、いいこと尽くしであるぞよ

ちなみに僕はマヌカハニーをよく喉が痛いときに食べてますが、効果てきめんな気がしてます
結構お高いですが……値段相応の価値はあると思っています!

お高いですなあ

MGOが高いほうが効果が高くて値段も高いみたいです
MGO400以上で抗菌・抗ウイルス作用もあるとかないとか……
ちょっと今度ちゃんと調べて記事書きたいと思います!
はちみつコーヒーは風邪後の長引く咳に対して有用である