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吸入薬を吸うときは舌の位置も意識すべき?

吸入薬を吸入するときは、舌の位置も意識できると良いかもしれない。

そんな舌の位置による気管への薬剤流入状況の違いについて検討した報告があります。

例えばプラセボを用いて内視鏡撮影・画像解析をした結果、舌を下げた場合は下げない場合よりも有意に多くの薬剤が咽頭に達して気管に流入したとの報告1)や、フルチカゾンを定期吸入している成人気管支喘息患者において、舌を下げた場合のほうが口腔内でのフルチカゾン残存率が低かった(より多くの薬剤が気管内に送達できた)との報告2)があり、舌を下げずに吸入すると薬剤が舌や咽頭部に付着して気管への送達量が減ってしまうことが示唆されています。

そのためこれらの報告では吸入時には舌を下げるほうが良いと結論づけられており、報告者によると50音で「ホー」の発音をする際の舌の形が吸入において最も理想的であるとして、この舌を下げる吸入法のことは「ホー吸入」と命名されています(図1)。

これは口頭での説明だけではなかなか患者さんに伝えるのは難しいと思うので、イラストや日本喘息学会のWebページやYoutubeで上がっているアニメーション動画3)などを見てもらうのが良さそうです。


吸入薬には守るべき重要な手順がたくさんあります。必ずしも舌の位置を意識しなければならないというわけではないとは思いますが、患者さんの理解度に応じてプラスアルファとして活用したいですね。

参考文献
(1)Takahiko Horiguchi, Rieko Kondo :Determination of the preferred tongue position for optimal inhaler use, J Allergy Clin Immunol Pract. 2018 May-Jun;6(3):1039-1041.e3.
(2) Tatsuyoshi Yokoi, Rieko Kondo, Takahiko Horiguchi : Residual fluticasone in the oral cavity after inhalation with different tongue positions, J Allergy Clin Immunol Pract. 2019 May-Jun;7(5):1668-1670.
(3)日本喘息学会:吸入時のベストな舌の位置「ホー吸入」 Ver.2 http://jasweb.or.jp/movie_ho_JP.html

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