もくじ
ダパグリフロジンは糖尿病じゃなくても心不全に有効?
JAMA. 2020 Mar 27;323(14):1353-1368.
Effect of Dapagliflozin on Worsening Heart Failure and Cardiovascular Death in Patients With Heart Failure With and Without Diabetes
PMID: 32219386 PMCID: PMC7157181 DOI: 10.1001/jama.2020.1906
最近知った最近流行りと噂のデザイン手法であるニューモフィズム(凹凸デザイン)を使ってビジアブを描いてみました。
重要性
駆出率が低下した心不全(HFrEF)に対しては、追加の治療法が必要とされる。
SGLT2阻害薬は糖尿病のないHFrEF患者にも有効な治療法である可能性がある。
目的
糖尿病の有無に関わらず HFrEF患者におけるダパグリフロジンの有効性を評価することを目的とした。
研究デザイン
20カ国の410施設で実施された第3相ランダム化試験の探索的解析。
駆出率が40%以下で血漿N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドが上昇しているNYHA分類(New York Heart Association functional classification)II~IVの患者を2017年2月15日~2018年8月17日の間に登録し、2019年6月6日に最終フォローアップを行った。
介入
ダパグリフロジン10mgの1日1回投与またはプラセボを推奨治療に追加した。
主要評価項目
主要評価項目は心不全の悪化または心血管死のエピソードの複合とした。
このアウトカムは、ベースラインの糖尿病状態、および糖尿病のない患者では糖化ヘモグロビン値が5.7%未満または5.7%以上で分析された。
結果
無作為化された患者4744人(平均年齢66歳、女性1109人[23%]、糖尿病なし2605人[55%])のうち、4742人が試験を終了した。
糖尿病のない患者では主要アウトカムはダパグリフロジン群1298例中171例(13.2%)、プラセボ群1307例中231例(17.7%)に発現した(ハザード比、0.73[95%CI、0.60-0.88])。
糖尿病患者では主要アウトカムはダパグリフロジン群1075例中215例(20.0%)、プラセボ群1064例中271例(25.5%)に発現した(ハザード比、0.75[95%CI、0.63~0.90])(交差作用のP値=0.80)。
糖尿病がなく、糖化ヘモグロビン値が5.7%未満の患者では、主要アウトカムはダパグリフロジン群で438人中53人(12.1%)、プラセボ群で419人中71人(16.9%)で発生した(ハザード比、0.67[95%CI、0.47~0.96])。糖化ヘモグロビン値が5.7%以上の患者では、主要アウトカムはダパグリフロジン群で860人中118人(13.7%)、プラセボ群で888人中160人(18.0%)に発生した(ハザード比、0.74[95%CI、0.59~0.94])(交差作用のP値=0.72)。
糖尿病を伴わない患者ではダパグリフロジン群で7.3%、プラセボ群で6.1%、糖尿病を伴う患者ではダパグリフロジン群で7.8%、プラセボ群で7.8%で脱水(Volume depletion)が有害事象として報告された。
また、糖尿病を伴わない患者ではダパグリフロジン群で4.8%、プラセボ群で6.0%、糖尿病を伴わない患者ではダパグリフロジン群で8.5%、プラセボ群で8.7%に腎臓の有害事象が報告された。
結論と関連性
HFrEF患者を対象とした無作為化試験の探索的解析において、ダパグリフロジンはプラセボと比較して推奨治療に追加された場合、糖尿病の状態とは無関係に心不全の悪化または心血管死のリスクを有意に減少させた。
DAPA-HF(PMID: 31535829)で示唆されていたことを再確認(探索的再検討)した研究とのこと。
ちなみにDAPA-HFのDAPAはダパグリフロジンのDAPAではなくて、Dapagliflozin And Prevention of Adverse-outcomes(in Heart Failure)の略のようです。
脱水、腎機能障害、低血糖に関連する有害事象の頻度は、治療群間で差がなかった。
The frequency of adverse events related to volume depletion, renal dysfunction, and hypoglycemia did not differ between treatment groups.
DAPA-HF本試験(PMID: 31535829)より
治療を中断するような有害事象の発現はごくわずかだったとのことであり、低血糖の発現も差がなかったよう。
心不全に対する有効性の機序に関しては利尿作用をはじめとして色々検討されているとのことでした。いろいろ気になってしまいますね。